真田広之

真田広之は、エンタメ業界にはあまりいない、いわゆる「演技派」俳優です。演技派という愛称は海外ではあまり意味を持たないかもしれませんが、日本では最大級の賛辞かもしれません。また、真田は海外でも自信を持って演技できる数少ない俳優の1人です。

真田は故・三船敏郎や高倉健、同年代では1990年代半ばから数々の賞を独占してきた役所広司や「ラスト サムライ」に出演した渡辺謙らと同じく、シリアスな映画に引っ張りだこです。

真田は本名の下澤廣之を新字体で表記した下沢広之名義で、5歳で劇団ひまわりに入団し俳優としてのキャリアをスタートさせると共に、雑誌モデルとしての仕事も始めました。同じ年に初めて映画に出演しましたが、学業に専念するために一度仕事から離れます。11歳の時に父親を亡くした彼は、翌年から空手を習い始めます。

真田は13歳でジャパン・アクション・クラブ(JAC)に入団し、ジャズダンスを習い始めます。彼はJACで、千葉「サニー」真一やショー・コスギ(人気俳優であるケイン・コスギの父)に続くスターとして知られるようになりました。真田は乗馬を習得し、若い「タレント」を広く受け入れている堀越高等学校を卒業しました。

18歳になり、真田広之名義で「柳生一族の陰謀」に出演し、2度目の映画デビューを果たします。俳優として2度目のキャリアをスタートさせた当初は、似たような低予算の侍映画や忍者映画に数多く出演していました。

海外ではマーシャルアーティストとして有名になり、「ヘンリー」または「デューク」・真田の愛称で知られるようになります。1982年に日本大学芸術学部映画学科を卒業しました。

1987年には、舞台「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」でゴールデン・アロー賞演劇新人賞を受賞しました。映画ではさらに輝かしい受賞歴を誇り、日本アカデミー賞の優秀主演男優賞を5回受賞しています。トム・クルーズ主演のラストサムライの撮影をニュージーランドで行っていて、授賞式に出席できなかったというエピソードもあります。

若い時代に出演していたマーシャルアーツ映画での配役と同じく、「たそがれ清兵衛」やラストサムライでも英雄的な役を与えられています。しかし真田は多彩な才能を持つ俳優です。大ヒットを記録し2002年にハリウッドでリメイクもされたホラー映画「リング/らせん」(1998)にも出演しています。

2000年には、日本人俳優として初めてロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの公演に出演を果たし、ロンドンで上演された「リア王」で道化の役を英語で見事に演じきりました。2006年には、ジェームズ・アイヴォリーとイスマイル・マーチャントの最後の共作である歴史ドラマ、「上海の伯爵夫人」に出演しています。真田は数々のテレビドラマ、そして50本を超える映画に出演しています。 

1990年から1997年にかけて女優の手塚理美と結婚しており、2人の息子がいます。真田はプレイボーイとして知られていますが、中でも最も注目されたのは15歳年下の葉月里緒菜との交際でしょう。